ハーレム内での百合と百合ハーレム

この10年程ハーレムアニメと呼ばれるジャンルがアニメ全体でも高い割合を占めており、昨今は陰りが見えてきたようにも思えるがそれでも一定の割合を保っている。なお、ここではハーレムアニメを男性主人公を複数ヒロインが囲むタイプのアニメと緩やかな定義をしておきたい。

こうしたアニメにはいつからかヒロイン同士の関係が描写されるようになっていた*1。これには2つの理由がある。まずハーレムアニメの文法としてはお当番回というものがあって、特定のヒロインがお当番として主人公に可愛らしい姿を見せる様式がある。この際にお当番でないヒロインが余るという問題を解決する必要がある。2つ目としてヒロインは主人公が独占するという不文律がある。この不文律によって他の男を出して無闇に関係を発展させる訳にはいかない。これらからヒロイン同士で絡むといった状況が発生する。ヒロインは主人公を取り合っているので恋のライバルとしての関係をやってもいいし、お当番に対する共同戦線を張ってもいい。共有できるものがあるからそれを支点として関係を描けてしまうわけである。

さて、そうやってヒロイン同士の関係を描いてしまったわけである。今でこそ百合アニメはハーレムアニメのすぐ近くにあるくらい供給されていうると言っても過言ではないが、数年前まではそんな状況ではなかった。1クール1本あればよくて、安定的供給のある女児アニメばかり見るような状況だった。そうして中でヒロイン同士の嫉妬や同情、共闘や対立を見せたらどうなるか。見ているものが男性主人公であっても同じ方を見ていたり、間に男を挟んでいるだけで見つめ合っているのだ。場合によっては主人公に対する気持ちを気づかせてしまったりするのだ。そういったものを見せられてしまったらもう百合としか呼べない。きっかけが男にあるだけで、仮にこれを宝石に魅入られたヒロイン達の話だとすれば、広く百合であると呼べるだろう。

だが、先にも述べたように百合アニメが増えてきた。そして昔からあるようにそういうカップルもいるという状況ではなく、女中心のハーレムが増えてきたのだ*2。百合ハーレムと呼ばれるタイプのものだ。これが男は不要だが男中心のハーレムアニメと似た文法にしたかったからなのか、アイドルアニメが増えてそのセンターに立つキャラクタがハーレムの中心に近かったのか、あるいはまた別の理由だったのかは明らかではない。それでも生まれてきてはいる。次回はそれが実際に設定としてそれが内包されてしまっている本日10/6 23時から順次放送開始の2015年秋アニメ緋弾のアリアAAについて取り上げてみたい。


*1:初めからその要素がインプリメントされていた可能性もある

*2:ただ主人公を含めて3人というものが多い。相田マナさんはおかしい