咲-Saki- 第153局[一閃]

ふひゃっ


[ここまでのあらすじ]
ネリーの3連続和了で準決勝は終了。辛くも清澄は2位で決勝進出である。ネリーの最後の上りで裏ドラが乗らなければ敗退するというぎりぎりの結果だ。一方、負けた獅子原はまだ能力を隠し持っていた。淫欲を司るパウチカムイである。ネリーが試しにかけてみろというのでやむなく使ってやると、見事ビクッガクガクと効果を発揮。リザベーションもかくやというカムイであった。そして、ついに穏乃が覚醒の鱗片を見せる。その波動は離れた相手にまでプレッシャーを与える程であった。


今週気になる点は3つ。ネリーの能力。パウチカムイ。穏乃の覚醒である。

ネリーの能力は表現形としては最低3つあるようだ。運の制御と他家の聴牌察知、他家の能力知覚である。ただ、聴牌察知と能力知覚はこのレベルになってくると持っていて当然になってきているし、運の制御が本質だろう。ただ、能力知覚はある程度オカルティックな能力がないと知覚しづらい*1ようであり、ネリーもそういった能力が運の制御と結びついている可能性が高い。

では、どんな能力か。咲は神話や伝承を能力の基に使っている場合が多く、ネリーもその例に漏れない可能性が高い。故にそこから考えると理解が早くなる。ただ、現状では運を制御できる、空を飛ぶようなイメージである、出生地がサカルトヴェロである、の3点しか情報がなく、予想するのは難しい。空を飛ぶ、サカルトヴェロという点から金羊毛の話も考えてみたが、いかんせん運の扱いが難しい。結局は全国大会決勝大将戦までお預けである。いつになるのだろう。


次にパウチカムイ。どうもこのカムイは淫魔に属するもののようで、相手を淫乱にするらしい。実際、ネリーが影響を受けた時にはリザベーションほど明示的ではなかったものの、疲れさせる程度には興奮させていた。極めて強力な能力ではあるが、相手の肉体に働きかけるものは好ましくないとこれまでも使っていなかったそうだ。ただ、昔の世界上位ではそういう相手に直接攻撃するような人もいたらしい。なんとも恐ろしい世界である。

ただこの世界観説明は能力バトル漫画としては結構大事だ。テニプリなんかでは世界上位は能力を打ち消し合って普通のテニスになってしまっている説が普及しているが、咲ではそういう状況では必ずしもないという事を示している。少なくともある時期までは能力を打ち消し合うような戦いではなかったし、今は何らかの理由でそれが廃れてきているという情勢がある。のどっちの「そんなオカルトありえません」もこれが遠因かも知れない。


そして最後の穏乃。かなりの遠距離にまでプレッシャーを飛ばしている。もう完全にニュータイプみたいだが、他の上位者とはかなり趣が異なっている。他の上位者が遠距離まで波動を飛ばすのは基本的に気合を入れた時や能力を発揮する時だ。しかし、穏乃は単純に決勝を楽しみにしているだけである。しかも極めて穏やかな表情で気安い仲間と楽しく麻雀を売っているだけ。ただただ決勝戦が楽しみなだけなのだろう。だがこれは、「麻雀って楽しいよね」を対局中ではない所で気づいてしまっている。楽しさを思い出した咲でも、楽しさに気づいた衣でもない、戦う前から知っている穏乃。一筋縄では行きそうにない。


そんなわけで1周間早ければパウチカムコピー本が出るとまで言われた153局も終わり。次回は1ヶ月空いて2/5である。


新テニスの王子様 2016カレンダー 壁掛け A2

新テニスの王子様 2016カレンダー 壁掛け A2

*1:はやりんは能力に気づいていない。他のケースでも無能力者は能力の発現前後でやっとプレッシャーを感じる程度の場合が多い

文具少女ののの 第1話「ののの愛しのボールペン」

年末になっての新連載攻勢第1弾。いきなりイケメンを振ってシャーペンを愛するヒロインから始まる魔法少女物だ。明確に無生物を愛しきっているかのような表現は珍しい。麻雀が大好きとか、フェンシングが楽しいとか、そういうレベルを軽く超えてしまっている。

しかし、魔法少女物としては非常にオーソドックスな1話。振られた男が怒りにかられて怪人化して襲ってきた所で、父からもらったデバイスが主人公の声に応え起動、見事脱衣変身して浄化するというものだ。まるでプリキュアでも見ているみたいだった。魔法少女系の1話としてはこういう形式はもう完全に出来上がっているのだろう。


ただ、文具で変身というのは珍しい。魔法少女だと圧倒的にステッキとして扱われるもので変身する事が多い。そうでなければペンダントなどの装飾品、あるいは化粧品に類されるものだ。しかし、ののではそれがシャーペンなのだ。雑誌のターゲットが女児ではないので魔法少女でありきたりなデバイスである必要もない。それにしたってあまりに日用品すぎる。いくら父からもらったとはいえ、身近すぎて特別なものとしてのイメージがつきにくい。

だがその代わり、身につけていても自然という正体を隠す魔法少女にとっては必須の様子には完璧に適合する。また、アンケートから察するに他の文具も出そうとしているようで、デバイスのバリエーションを増やすのにも文具は適当だ。ハサミやカッターで敵を切るというのは容易にイメージできる。

その上、煽りにすら「絶対安心なヒロイン」などと言われている通り、ののは変身アイテムである文具を愛してしまっている。男が出てきていちゃつき始めるのを見るよりはまだ変身アイテム文具を愛している変わり者の方がいいという人への配慮にもなっている。まぁそんな読者がいるかは知らないが。


そんなわけで文具少女のののはオーソドックスな魔法少女物だった。どうも来週はギャル系美少女とロリ博士が出るようだ。いつもの展開ならきっとギャルは先輩文具少女だろう。そうやっていつもの魔法少女をやっていくなら、ライバル文具少女が出て来るに違いないし、光線を撃って身も心も撃墜するに違いないし、当然百合になるはずと期待したい。

緋弾のアリアAA 5弾「カルテット・後編」

後編なので前回の続きかとおもいきや、突如始まる総集編。ここで一区切りとなるから一応入れたくらいの意味なのか、あるいは何か厳しい状況にあったのか、前回の緋弾のアリアは! をやるアニメではないので妙に唐突だった。

そんなこんなで本編が始まるとあかりと麗の対決が妙に長い。特に建設現場のような謎の空間で麗の語り。動きのあまりないシーンが続いて、実時間以上に時間がゆっくりと流れているようだ。あのあかりが避けられる程度の弾速という意味にすら見えてくる。ゴム弾が当たって平気なのも実は痛くないとすら思ってしまった。ただ、麗がそういうキャラくだだというのを先にやっておく必要はあったのかもしれない。麗がすっかりあかりに落とされてしまった描写はされるだろうが、志乃並にやばいというのをやるのは難しい。せめて金さえ積めば女を物にできるという考え方である事は示せている。

カルテットが終わったかと思えば夾竹桃がピタゴラスイッチで建設現場を倒壊させる。落下物をレキが狙撃してあかりを助ける。それでもピンチになったがあかりが能力を使って麗共々助かる。状況だけ書けばありそうなシナリオなのだが、あかりの能力がすっかり電撃系の能力みたいになってしまっている。想像以上だ。体内のパルスを利用する術なのだから電撃系と言えば確かに電撃系なのだが、それはあくまで脳に刺激を与えるようなレベルであって、強力な電磁石を作るようなレベルではないと思っていた。極めればどっかのコインをぶっ放す人にでもなれそうだ。

全体的によくわからない回だった。漫画と比較しているような見方はもはや駄目なのかもしれない。

緋弾のアリアAA 4弾「カルテット・前編」

AAもついにアイドルアニメ展開に、なんて思ったらそんなのは夢。今時のアイドルアニメ人気に釣られたんだろうか。実際はキンジを女装させたいとかいう欲求が何処かから発露したなんて事ではなかろうな。少ないが確実に需要はある。まぁ百合アニメでやった所であんまり効果はないだろう。

本編はといえば原作でもあるカルテットの前編。前編なので主にその特訓まで。毎度の事ながら随分圧縮されて話の展開も微妙に違う。気づいたら志乃が白雪の妹になった話までしてしまっていたし、志乃はもう姉妹丼に目覚めている。アリアの貰ったお守りは何故か安産祈願だ(理由は赤松さんのつぶやき参照
https://twitter.com/akamatsuc/status/659035172076040193
)。

こうして話が違うと違和感を覚える事もなくはないが、やっぱりアニメAAのテーマはアリアとあかりが戦姉妹となる話なのだ。そして恐らくあかりハーレムをそこまで強調する気はない。だからライカや志乃はすぐに姉妹になってしまし、麒麟は初めからライカに惚れているし、志乃が最初からののかにも興味を持っている。皆が姉妹になっていく物語や皆がハーレムに入っていくお話ではないのだ。漫画とは違うなと思う所があっても、それはアリア先輩の妹となる為に、妹として正しくある為に、そういうものしかない。これはこれですごい。やりたい事が実にはっきりしている。義理姉妹百合を徹頭徹尾やりたいアニメなのだ。


何故アニメのライカはブーラブラーしなかったのか

漫画でのライカ麒麟の出会いは実にドラマティックだ。事件に巻き込まれたヒロインに偶然にも出会い、派手なロープアクションで救出する。囚われのお姫様を救う王子様といった古今東西で好まれ、私もとても好きなエピソードの1つである。麒麟がコミックの表紙をアリア、あかりに続いて飾るだけの事はある。それだけ劇的な出会いをやってしまったのだ。

これをアニメでも見たかった。でもそんなものはなかった。1弾から麒麟が一方的に惚れていた状態で、ライキリが主役となった3弾でも劇的な出会いを回想で補完するといった事もなかった。姫が以前から狙っていた王子を射止めたという話になっていた。劇的な出会いというのはベタではあるが、盛り上がる話ではあるし、何故やらなかったのか。


まず最初に挙げられるのは尺の問題だ。4弾以降の話となるが、カルテット①~④を前後編で分けてやっている。今後の話をすれば夾竹桃①~⑦はアニメのクライマックスなので省略はあまりせずに3、4話は使うだろう。この時点で8.5話。だが、1弾冒頭のアリアとあかりの再戦は本当の戦姉妹になるという話に不可欠なのでやるはずだ。更に漫画の人気エピソードを時系列を入れ替えてやると言っている。それぞれ1話しか使わなかったとしても10.5話。12話編成なのでもう1.5話しかない。

ライキリ戦姉妹契約編(島麒麟①~③、火野ライカ①~③)はカルテットの消費話数から考えて省略したって2話はかかってしまう。1弾からもわかるように、アクションはやりたそうな感じなのでアクションは削れない。だが、特に出会いに関してはほぼアクションなのである。削る所がない。無理に入れても意味不明になるだけである。


また、ライカはそこまで活躍するわけに行かないという問題もある。あんまりライカが格好よすぎるとライカがモテて当然に見えてしまう。あかりがハーレムを形成する話のはずなのに、その説得力がなくなってしまうのだ。女人望という設定が出ればまた別かもしれないが、ライカが惚れていなかった理由を作ったり夾竹桃を落とさねばならなくなってしまう。下手にモテる理由を出してしまうと、他の関係にも理由があるかにも見えてしまう。美人船やチビ専の話をすれば女人望の効力も少しはわかるが、順番を入れ替えてやる話としては難しい。もっと話が進んでも負けたらハーレム入りみたいになって、女人望がなくてもわかりやすくなるのだがこれは2クール編成ではない。また尺になって話になってしまった。


そもそもあかりがあの時点で麒麟を助けに行くかという話もある。漫画ではアリアならどうするかという観点で動いていたが、アニメではアリアにもう少し周りに気を配れといった指導を受けてしまっている。これでまた不用意な事をすれば正式な姉妹になる気があるのか疑わしく見えてしまう。アニメはアリアとあかりの戦姉妹にスポットが当てられているのだ。言いつけを破るのはここぞという時であるべきなのだ。それはいつどのように使うか。やるなら死を覚悟した戦い、すなわち妹を救う為に夾竹桃に相対した時だろう。そうそうさくっと使っていいものではない。


何故やらなかったかはこの3つくらいになるだろう。やらなかった結果としてはライカ麒麟だけの王子様になり、少女返りも文字通り少女になろうとするものになった。自身の魅力を意識してノンケだった女の子を落とし始めているライカも見たかったが、どうもアニメは固定カプっぽいし、これはこれで都合がいい。カプが決まっているとスポット的にカップリング要素を出せるのだ。背景でいちゃついているライキリがさも当然のように出せるのだ。それはそれで嬉しい。また、男の方に感情移入するという話をしない方が少女と少女のカップリングという割りとわかりやすい百合になる。どちらもアニメとして楽しく見るのにいいものになっていると思う。