アサルトリリィ The Fateful Gift

今秋にアニメ化もされる舞台アサルトリリィThe Fateful Giftを観劇した。期待以上だった。実に素晴らしい。何となく複数公演申し込んでしまったが、結果的には大正解だ。

LoGに比べて広い会場、増えた出演者、基準の変わった席割り、と前と変わった所が多かったが変更に合わせてよく適応したと思う。プロジェクションマッピングは壁面が大きいからこそだろうし、振りかぶってする殺陣は広くなければできないだろう。席割りについてはこのままこれを継続してほしいくらい見やすかった。



お話としては今回は起承転結の承に当たる部分だった。舞台アサルトリリィは梨璃と夢結の物語であり、前回は2人の再会という起であった。承である今回は御前という物語の結末に必要な、恐らくラスボスであろう人物が登場した。梨璃と夢結の軸としては一柳隊と御前の陣営によって繰り広げられていくのだろう。

一方で今回は強化リリィという軸でも物語も描かれた。本人の捉えようはあれど、舞台に出てくる強化リリィは基本的に被害者だ。望まぬ施術をされ、人とは異なる存在になり、場合によっては怪異と化してしまう危険すらある。それでも戦う事を望まれてしまう。アサルトリリィ世界の厳しさを煮詰めたような存在である。

しかしながら、強化リリィの抱える辛さは個別のものではあるが特別なものではない。夢結を始めとしたルナティックトランサーはヒュージになりかけて戦うものであるし、特に夢結はシュッツエンゲルを失った戦いの記憶がなく、それは何らかの意図によるものと思われるものだ。こうした状況があるので強化リリィだからって特別な扱いはされない。あくまで仲間であり思いに応えるという形になっている。隊長でありカリスマ持ちである梨璃ならばそれができる。こうしてまた梨璃と夢結の話に戻ってくる。流石は主人公ペアだ。



残りは気になったキャラクタ達について触れていく。

藍来夢

出自により宿命的な特性を持った2人はまさにThe Fateful Giftとを体現者である。しかし、そうした2人の出会い自体もThe Fateful Giftと言えるのではないだろうか。実際、2人が揃ったからこそ発動するスキルのようなものは現状ではこの2人しかなさそうだ。うんうんこれもまたThe Fateful Giftだね。まぁ兎に角ガール・ミーツ・ガールは最高だ。

所で、今回のルドビコの壊滅はルドビコの方の舞台に詳細が語られているらしい。しかもルドビコの方は来夢に思いを寄せる幼馴染がいるらしい。いや、アサルトリリィは本当に恐ろしい最高のコンテンツだ。

船田姉妹

元祖? 共鳴現象と言えばトランサー共鳴現象の船田姉妹であろう。LoGでも大人気だったこの2人は今回も大活躍である。そもそも御台場は強キャラが助けに来るというポジションなので戦闘時に確実に見せ場がある。本当にずるい。好きになってしまう。更にこの双子は前作からの変化もあってより魅力的だ。

まず純様は下北沢を経てかなり人を信用するようになったようだ。態度が特に顕著で、人の話を聞く時は割と相手を見るし、遮ったりもしない。二水には発言するよう促す程である。しかも「姉様とロネスネス以外にも信用できる仲間がいる」とまで言い始めてしまう。もはや典型的なツンデレに近づきつつあるが、幸恵様達にツンツンしているだけで優しい人だなみたいな生暖かい反応をされる今くらいをもう少し見ていたい気もする。

一方の姉様の方は燈の登場による変化が面白い。燈が「純お姉様」なんて言うものだから周囲から誤解された際にはかつてないくらい食い気味に否定している。どんどんそういう執着が見たい。

御前と燈

殺陣が格好よすぎる。明らかにできる人を呼んできたので予想をしていたが、やはりすごい。2人の殺陣のシーンは別格だった。

御前は一柳隊周りとしては最終的なボスと思われる存在だけあるのでその圧倒的なアクションは役にも強い説得力を与えていた。動きを小さく軽やかに躱すと強者感が出るものらしい。囲まれてしまったら最低限の動きで避けるしかないのだと理解はできるが、それを実際に示されると迫力のある画になる。

燈はキャラ自体も魅力的だが、回毎に変わるねっとり具合が面白かった。燈はねっとりと嫌らしい感じを自ら演出しているタイプなのだと思うのだが、ねっとり具合が変わっていくと、やっている内にいやらしくなってしまったという見方ができて面白い。こういうものも複数回観劇する魅力かもしれない。

梨璃夢結

2人がお互いを助け合える関係になったので対峙すべき相手が出てきた、というのが舞台シリーズにおける今回の立ち位置なのだろう。梨璃が自身の実力を含めて自覚を持てた面は大きいし、夢結の方も姉としての自覚を持てた。これを舞台の物語にちゃんと絡めてくる当たりが主人公だ。やはりこの2人が物語の主軸なんだなぁ。

雨嘉神琳

今回この2人は出番が多い方ではない。解説役の二水やコミックリリーフとしてのミリアム、実力で目立ってしまう梅様と楓さんのように役割があるわけでもなく、鶴紗のように今回テーマの強化リリィとして取り上げられる事もない。ラストショットも出番が少ないからこそとも取れる。

しかし、今回はライヴシーンの星守さんがやばすぎた。髪を触れるだけでもやばいのに、千穐楽では顎まで触れ始め、狼になってしまったらしい。いや、狼って……。本当にこの2人が怖い。最後にお茶が飲みたくなるくらい怖い。



というわけで最高の舞台だったので早くメディア化して欲しいし、ルドビコも御台場も行きたい。アニメもゲームも楽しみだ。最低でも1年は楽しめると思うと幸せなものだ。