アイドルコンテンツの適正人数は何人なのか?

温泉むすめのキャラクタ数が100人を超えた。温泉むすめは各キャラに声優が設定されているコンテンツの為、100人以上の声優が参加するコンテンツになっている。一体どこまで増えるのだろうか。

今回はアイドルコンテンツが抱えるキャラ数はどの程度が適切なのかを検討していきたい。感覚としてはアイドルコンテンツの適切な人数は25人程度と思っている。振れ幅としては16~30人程度だろう。これは4~6人のユニットが4~6組ある状態である。キャラクタをユニット単位で管理できて、ユニットのバリエーションが複数あるという状態を作れれば、ゲーム内のイベントでもリアルイベントでも利便性が高そうという理由はおけそうだ。この予想をデータに照らして見ていきたい。

なお、ここでアイドルコンテンツはアニメやゲーム化されている2次元のコンテンツで、2018年現在までプロジェクトが継続していそうなものに限定する。なお、男性アイドルコンテンツも数多くあるが、私に全く知識がないので基本的に女性アイドルやバンドのみとしたい。

次は20種類程のコンテンツのキャラ数を声ありのキャラクタ順にまとめた表である。数え間違えがなければキャラ数の平均は30.3人、声ありのキャラ数は24.8人だ。もうこの時点で予想と一致したと言いたい所だが、標準偏差がそれぞれ39.0, 22.3ある。あまり強い根拠にはならない。

キャラ数 声ありキャラ数 開始年
温泉むすめ 102 102 2016
ウマ娘 60 60 2016
アイドルマスターシンデレラガールズ 183 51 2011
Tokyo 7th Sisters 50 50 2014
アイドルマスターミリオンライブ! 39 39 2013
アイカツ! 30 30 2012
プリパラ 30 30 2014
BanG Dream! 25 25 2015
プリティーリズム 23 23 2010
ラピスリライツ 20 20 2018
Wake Up, Girls 19 19 2012
Re: ステージ! 18 18 2015
アイドルマスターシャイニーカラーズ 16 16 2018
ときめきアイドル 15 15 2017
アイカツスターズ! 14 14 2016
THE IDOLM@STER 13 13 2005
8 beat Story♪ 11 11 2016
普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。 10 10 2011
ラブライブ! 9 9 2010
ラブライブ!サンシャイン!! 9 9 2015
アイドルコネクト asterisk*live! 9 9 2016
プロジェクト東京ドールズ 9 9 2017
22/7 8 8 2016
マクロスΔ 5 5 2015

次のグラフは切り口はコンテンツの開始年に対して声ありのキャラ数をプロットしている。平均と分散を考えれば妥当なグラフだろう。

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コンテンツ開始年と声ありのキャラ数

ここで2015年を潮目の変化と見たい。それまでアイドルコンテンツのトレンドとしてはキャラ数の増加があった。キャラ数が多ければ自分好みのキャラが見つかるという論理があったのだろう。2015年までの思考で企画されたのが翌年から開始されたウマ娘と温泉むすめである。それなりの若手の声優を端から使うようなコンテンツになっている。しかし、その2つを除いたら今まで残っているのは30人以下のコンテンツばかりである。これは何故か。

2015年起こった大きなイベントとしてアイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージのリリースを挙げたい。それまでアプリゲームは投資が低くて儲かる商売だった。数撃ちゃ当たるでよかった。しかし、マーケットリーダが3Dでアイドルを踊らせるようなものを作ってしまった。それまでもアイドルの音ゲーはあったものの、音ゲーがかなり大きな市場になった。音ゲーがメインになるとどうなるか。アプリの作りが難しくなり、楽曲も必要になり、人気が出たらライヴまで求められてしまう。ハイリスクな商売なのだ。その波にアイドル事変のように乗ろうとして失敗した企画も多くあった。

この流れを上手く学習し、活用できたのはバンドリなのではないか。アニメ化でIPを高めておき、ゲームを2017年してキャラ数は25人である。ユニットによっては単独ライヴまでやっている。相当なコストが掛かっているはずだが、売り上げランキングの常連だ。十分にペイしているのだろう。一方でウマ娘や温泉むすめは音ゲーで勝負しないという選択をしたのではないか。アイドル部分は声優が担えばいいわけで、ゲームはゲームでやればいいという指針である。特に温泉むすめは旅行会社とコラボしたり鉄道会社とコラボしたりとリアルイベントを主体にしているかのようだ。取り敢えず種まきの数を多くしているともとれる。



結局、アイドルコンテンツの適正人数が25人という当初の予想に対して十分なデータの提示も分析もできなかった。今後は潰れてしまったコンテンツを含めてデータを収集していくとともに、各コンテンツの年ごとのキャラ増加も分析していきたい。しかし、現状で音ゲーで有力なバンドリのキャラ数25人はアイドルコンテンツの平均に近いものでは合った。やはり木谷社長はすごいと言った所か。一方でアプリゲームが飽和した状況では他のビジネスモデルの検討も必要になってくる。温泉むすめはその解を示せるかについても注目していきたい。