現場で聞いてよかった10曲 [2022]

例年通り今年も現場でよかった曲を紹介していく。イベントの種類は問わないが挙げたらきりがないので基本的に今年初披露されたもの、かつ1イベントにつき1曲とする。

よかった曲10選

Neunt Praeludium

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現場: 舞台「アサルトリリィ Lost Memories」、アサルトリリィSummer LIVE 「voller Blüte」 、BUSHIROAD 15th ANNIVERSARY LIVE
歌唱: 一柳隊

もうこの曲は2022年のテーマ曲としか言いようがない。年初に舞台があって、夏に集大成のライヴがあって、秋にフェスに参加して、終わりかと思ったら次の曲が出る。そんなドラマティックな事が起きてしまう。始まりには賛美歌を、という歌詞を含めてあまりに出来すぎだ。蕾が満開になって実ったのだ。

隣リ舞咲ク

現場: 舞台「アサルトリリィ・御台場女学校 -The Empathy Phenomenon-」
歌唱: 御台場女学校

動画も音源もなく、紹介しようがないのだが、御台場を見ろとしか言えない。来年に舞台もLIVE SHOWもあるので是非見て欲しい。恐らくLIVE SHOWでも披露される。

御台場らしく全体的に格好いいのだが、これがステージでやるとクールなばかりでなく、因や薺といった愉快な仲間達が愉快な動きをしてくれる。舞台の一部として構成されるOPにはこうした魅力があっていい。

Delight to me!

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現場: 少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The LIVE エーデル- Delight, シークフェルト流伝説のしごき-TALK&LIVE-
歌唱: シークフェルト音楽学

こちらは舞台曲と言ってもOPではなく劇中歌に近い。レヴュー曲だとは思うのだが、本舞台のテーマ曲として機能しており、テーマ曲兼レヴュー曲といった所だろうか。雪代晶が圧倒的頂点として君臨するシークフェルトだからこそ実現可能な形態だ。

楽曲としては伊藤翼のドタドタとした忙しないブラスアレンジがよすぎる。リステなどで癖のあるドラムだとは思っていたが、ドタドタという擬音を当ててから更に伊藤翼の理解が進んだ気がする。どんどんドタドタして欲しい。楽しい。

Starcast

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現場: 石原夏織 LIVE 2022 「Starcast」、やなぎなぎ 10周年記念ライブ -Roundabout- Vol.4
歌唱: 石原夏織

見てもらえればわかる。

セピアの虹

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現場: harmoe canvas session Ⅲ, harmoe 1st LIVE TOUR「This is harmoe world」
歌唱: harmoe

活動開始2年弱、1stアルバムでこんな曲が出てくるなんて思っていなかったし、今でもよくわからない。それでも表現できるのがこの2人だし、この2人だからこそ表現が変わっていく事もわかる。そして、それがきっと楽しめたらいいなという期待も持てる。

実際、ツアーを回って、見る側としての私も変わっている。それでも好きで、もっと好きになっていたのだから、楽しみにもなる。来年もツアーあるといいなぁ。

Gimme Love

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現場: アサルトリリィ×私立ルドビコ女学院 LIVE SHOW
歌唱: ルドビコ女学院

こんなの聞いたらおかしくなっちゃうよと幻の御台場LIVE SHOW*1の時点で思っていたけど、ルド女で聞いたら本当におかしくなってしまった。こんな格好いいの聞いたらおかしくなっちゃうよ。格好いい女子が好きな人は聞いておかしくなろう。LIVE SHOWで聞くとダンス付きで更におかしくなれるからおすすめだ。

みんなの世界

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現場: ルミナスウィッチーズ2ndLIVE ~SHOW MUST GO~
歌唱: ルミナスウィッチーズ

アニメの最終回の翌週にこれをやったんですよ。もうこれ自体が13話なんですよ。ルミナスウィッチーズというメディアミックスは完璧でしたよ。

私はキャストにキャラクタを重ねる手法がそんなに刺さらない方だけど、それでもアニメという宣伝を経て会場が埋まったという事実は出来すぎなくらいドラマだった。あのアニメを経てそうなるんだから感じ入ってしまう。今挙げている通り、今年は継続のコンテンツや舞台ばかり見ていた気がするが、それでもこうして新規で素敵なものを目にできて幸せだ。

Regalia -継承-

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現場: 少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The STAGE 中等部- Regalia
歌唱: シークフェルト音楽学院中等部

アフレぐ! の方がキャッチーで音源が出た時点では好みだと思っていたのだけど、舞台に何度も通う内にすっかり好きになってしまった。時間軸としてアフレぐ! はこの舞台ではやや早く、OPとしてこの舞台を飾るならばRegaliaだろうと感じたのが大きい。時間軸を感じさせるという意味でもOPとして完成度が高い。

なんと年度内にこのRegaliaが披露されるであろうシークフェルト音楽学院中等部のライヴがあるんですね*2。絶賛申し込み中なので是非申し込みましょう。

Ideal/Idol

現場: Re:ステージ!PRISM☆LIVE!!~4th STAGE~ Reboot
歌唱: KiRaRe

伊藤翼らしいドタドタした雰囲気もあるものの、冬のような寂しさを感じつつ、それでいて華やかでもあるという不思議な曲だ。何となく正月のような催事の雰囲気を感じる。出す時期がやや早かったかも知れないが、2023年のニューイヤーソングとしてもよさそうだ。

きらりひらり舞う桜

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現場: スクールアイドルミュージカル
歌唱: 滝桜女学院高等学校 スクールアイドル部

スクールアイドルミュージカル自体もそうだが、滑り込みさよならホームインとしか言えないような曲だ。あの人目を引き付けるパフォーマンスから始まる時点でミュージカルの成功は約束されたようなものだ。この曲自体はOPとして扱われていないような気もするが、実質的なOPとして機能していたように思う。リステで言えば1話で出てきたステラマリスのような印象に残るライヴァルの魅力的な曲といった具合である。

なんと来月からこのきらりひらり舞う桜を実際に見られてしまうんです*3。大阪で行われる上にそもそも関西のお話なので関西圏の人はミュージカル初めにいかがでしょうか。


初めて聞いた曲

想い出が溢れてる

現場: 舞台「アサルトリリィ Lost Memories」、アサルトリリィSummer LIVE 「voller Blüte」
歌唱: 一柳隊

間違いなく今年最高のOPと言えるのだが、1イベントで1曲としてしまったので挙げられなかった。舞台の1曲目で一気に引き込まれてしまう。聞いた瞬間に舞台が始まる幸福感と緊張感に包まれる。そんな谷ナオキの魅力に乾杯だ。

インコンプリートノーツ

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現場: P’s LIVE〜Nice to P’s you!!〜
歌唱: SPR5

どう理由をつけても新規ではなかったが今年の1曲としてあげるしかない曲だ。トレンドに載ってしまうSPR5を信じろ。全ての休止企画の希望だ。

いただきバベル

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現場: harmoe canvas session Ⅲ
歌唱: harmoe

あったらいいななんて笑っていたら本当に来てしまった。そういう刺さり方をする現場なんですよ、harmoeって。

MIRACLE RUSH

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現場: Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-
歌唱: StylipS(小倉唯×石原夏織×豊田萌絵×伊藤美来)

間違いなく今年最大の驚き。絶対に選外にはできないが、かと言ってどう選出すればいいか全くわからないのでこの枠にした。

全くもってアニサマに行ってよかった。この3人が来るならきっとと願った世界があった。咲-Saki-のファンでよかったよ。

約束の行方

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現場: アサルトリリィ×私立ルドビコ女学院「白きレジスタンス〜約束の行方〜」、アサルトリリィ×私立ルドビコ女学院 LIVE SHOW
歌唱: ルドビコ女学院

初めは普通に10選に入れていたが、考えてみたら新規にリリースされた曲ではなかった。時間的には経過しているはずなのにとても新鮮だ。

今の所、ルド女のテーマ曲としては一番好きかもしれない。舞台での演出がよすぎるんだ。来夢が1人で佇むシーンから始まるのは姉からの自立とも今後の孤独の暗示のようでもあり、OPとして完成度が高い。また、ダンスも好みだ。特にサビのキュッとなる動きがとても好き。

真実の刃

現場: アサルトリリィ×私立ルドビコ女学院 LIVE SHOW
歌唱: ルドビコ女学院

初めはあまりピンときていなかったが、回を重ねる毎にどんどん好きになっていった。聞いていれば好きなるという単純な話もあるだろうけど、展開としても盛り上がり方を理解するのが難しかった。上手く説明できないが、小さな波で大きな波を構成しているような感触がある。

舞台曲の魅力は舞台によって更に増すものなので最終章が益々楽しみになってきた。



咲-Saki- 第153局[一閃]

ふひゃっ


[ここまでのあらすじ]
ネリーの3連続和了で準決勝は終了。辛くも清澄は2位で決勝進出である。ネリーの最後の上りで裏ドラが乗らなければ敗退するというぎりぎりの結果だ。一方、負けた獅子原はまだ能力を隠し持っていた。淫欲を司るパウチカムイである。ネリーが試しにかけてみろというのでやむなく使ってやると、見事ビクッガクガクと効果を発揮。リザベーションもかくやというカムイであった。そして、ついに穏乃が覚醒の鱗片を見せる。その波動は離れた相手にまでプレッシャーを与える程であった。


今週気になる点は3つ。ネリーの能力。パウチカムイ。穏乃の覚醒である。

ネリーの能力は表現形としては最低3つあるようだ。運の制御と他家の聴牌察知、他家の能力知覚である。ただ、聴牌察知と能力知覚はこのレベルになってくると持っていて当然になってきているし、運の制御が本質だろう。ただ、能力知覚はある程度オカルティックな能力がないと知覚しづらい*1ようであり、ネリーもそういった能力が運の制御と結びついている可能性が高い。

では、どんな能力か。咲は神話や伝承を能力の基に使っている場合が多く、ネリーもその例に漏れない可能性が高い。故にそこから考えると理解が早くなる。ただ、現状では運を制御できる、空を飛ぶようなイメージである、出生地がサカルトヴェロである、の3点しか情報がなく、予想するのは難しい。空を飛ぶ、サカルトヴェロという点から金羊毛の話も考えてみたが、いかんせん運の扱いが難しい。結局は全国大会決勝大将戦までお預けである。いつになるのだろう。


次にパウチカムイ。どうもこのカムイは淫魔に属するもののようで、相手を淫乱にするらしい。実際、ネリーが影響を受けた時にはリザベーションほど明示的ではなかったものの、疲れさせる程度には興奮させていた。極めて強力な能力ではあるが、相手の肉体に働きかけるものは好ましくないとこれまでも使っていなかったそうだ。ただ、昔の世界上位ではそういう相手に直接攻撃するような人もいたらしい。なんとも恐ろしい世界である。

ただこの世界観説明は能力バトル漫画としては結構大事だ。テニプリなんかでは世界上位は能力を打ち消し合って普通のテニスになってしまっている説が普及しているが、咲ではそういう状況では必ずしもないという事を示している。少なくともある時期までは能力を打ち消し合うような戦いではなかったし、今は何らかの理由でそれが廃れてきているという情勢がある。のどっちの「そんなオカルトありえません」もこれが遠因かも知れない。


そして最後の穏乃。かなりの遠距離にまでプレッシャーを飛ばしている。もう完全にニュータイプみたいだが、他の上位者とはかなり趣が異なっている。他の上位者が遠距離まで波動を飛ばすのは基本的に気合を入れた時や能力を発揮する時だ。しかし、穏乃は単純に決勝を楽しみにしているだけである。しかも極めて穏やかな表情で気安い仲間と楽しく麻雀を売っているだけ。ただただ決勝戦が楽しみなだけなのだろう。だがこれは、「麻雀って楽しいよね」を対局中ではない所で気づいてしまっている。楽しさを思い出した咲でも、楽しさに気づいた衣でもない、戦う前から知っている穏乃。一筋縄では行きそうにない。


そんなわけで1周間早ければパウチカムコピー本が出るとまで言われた153局も終わり。次回は1ヶ月空いて2/5である。


新テニスの王子様 2016カレンダー 壁掛け A2

新テニスの王子様 2016カレンダー 壁掛け A2

*1:はやりんは能力に気づいていない。他のケースでも無能力者は能力の発現前後でやっとプレッシャーを感じる程度の場合が多い

咲-Saki- 第146局[絶望]

あのあと部屋に戻ってもいろいろ大変だったんですよ


[ここまでのあらすじ]
実況以外では久しぶりの大人組が登場。はやりん、戒能プロ、佐藤アナの3人である。時系列としては例の女子回の翌日なのでそれに言及。はやりんは酔うと大変らしい。高校生組の方はといえば爽の過去が語られる。子供の頃にカムイに助けられてからと思われているようだ。そうして得たカムイのホヤウは能力の非干渉化、アッコロはツモ河山を赤く染めるというもの。本作2度目の数え役満で大逆転。ついに有珠山が2位、そして清澄は最下位へと転落するのであった。


戒能プロの見立てによると、爽の召喚したものはスネイクとオクトパス、特にスネイクはマヤのククルカンに似たものに見えるらしい。ククルカンといえば羽の生えたヘビであって、確かにホヤウカムイに似ている。はやりんの反応からすればヘビやタコ程度に見えるのは戒能プロだけのようである。はやりんがのどっちのようなタイプでないのなら、召喚したものを見るにも一定の能力や素質が要求されるのだろう。しかもその知覚能力は距離か何かによって減衰するようだ。改めてモノクルを割った時の咲のモンスターっぷりを確認させられる。

戒能プロもタコっぽいものも召喚できるようだが、あくまで呼び出したキングが更に呼び出すといった方式らしい。キングとはこれまでも噂として話の出ていたソロモン王の事だろう。そのソロモン王が更にソロモン72柱を召喚するのだ。タコっぽいソロモン72柱というのはいないようだが、全然別物としているし、序列1位で蜘蛛めいた多脚のバエルだろうか。まったく、召喚対象が再度召喚とはどっかのサーヴァントみたいな話である。はっきり言って強すぎる。しかし、このレベルでなければ新人王が取れないのだ。プロというのは一体どんな魑魅魍魎が跋扈しているのだろう。


佐藤アナは麻雀プロ特有の意味不明な会話にインターセプトビオランテの話をしている時にたこ焼き美味しいみたいな人である。それでも報道の人だけあって本編前日の例の恐ろしいプロの女子会を知っている様子。そしてはやりんへ刺すような視線。卓上でなくても対局は始まるのだ。しかしすかさず戒能プロの差し込み、もといはやりんとの惚気話。部屋に戻ってもいろいろ大変って何があったのか。よく分からんが、2人は同伴出勤めいたものと見てよろしいか。


爽の過去と能力、それは恐らく幼稚園児時代にまで遡る。ある時行方不明となり、赤い海水に濡れて2日後に戻ってきたそうだ。それからは数年に一度巻き込まれる事故事件にはそれらに助けてもらっているとしているらしい。迷子となって怪異に助けられ戻ってくるが結びついたままというよくある類型と思われる。昔話としか思えないが、それを誓子と揺杏は信じているようだ。信じているというより寧ろ、そういった物語の類型に従って爽がまたあちら側に戻っていしまうことを恐れているのかもしれない。行方不明となった時のように。

そんな過去の会った爽だが、やっとホヤウとアッコロの効果が判明。ホヤウは対局相手の干渉から守ってくれるようだ。これはホヤウカムイ疱瘡神を追い払った伝承によるものだろう。しかし、ネリーの瞳の炎も消しているようにみえる。咲において瞳が燃えている時は能力を発動していると考えてよい。それを消してしまったという事は能力を無効化したのではなかろうか。少なくとも爽に能力を向けていて、その干渉をなくしたから無効化した程度の効力はあるだろう。一方のホヤウは赤い姿が反射して空や海を赤く染めるという伝承から、手牌も河も山も赤く染めるというものらしい。ある意味で松実姉妹の能力を合わせたような感じである。早く高い手で上がれる相当に強い能力だ。

しかし、両方とも使いきりであり、爽も自覚する通り神頼みだけでは勝てない。まだこれから長い後半がある。そして、ホヤウは嶺上まで支配できるのか。絶望はまだ早い。


咲-Saki- 第145局[背戻]

二度目だからだ――


[ここまでのあらすじ]
ネリーが嶺上開花で上がり、咲を動揺させる。しかし、マホとの対局経験がそのショックを小さくさせるのだった。次局、早くもカムイを霧散させ、安く早上がりする末原。そして親番となった爽は白い雲を使いメンチンツモ。続けて一本場にアッコロとホヤウを召喚するのであった。


ネリーの嶺上開花、これはやはり咲の動揺を誘うものであったようだ。ただ、そのショックはマホとの対局経験によりある程度軽減された。部長の特訓はまたしても大当たりである。指導者として極めて有能だ。顧問に全く出番がないのも納得だ。

しかしながら、ネリーの能力自体は未だ不明である。前回の描写を見る限り、爽の能力を感知した上で嶺上牌で上がれると確信していたようである。能力の察知自体は能力者にとっては基本として、嶺上開花は固有の能力と考えていいだろう。これを咲はマホとは違うとしていただが、能力コピーはボスキャラの能力でも王道の王道。使いこなせるからこそマホとは運用が違うという可能性も有り得る。咲が平気と自分に言い聞かせる辺りが怪しい。同種の効果を発揮できる能力者と気づいて一層焦る展開があるのではなかろうか。臨海女子は決勝進出の最右翼なのだ。


次局安上がりをする末原、爽に言わせるとカムイをもう雲散させているようだ。支配力が複数局継続しうる事と、その支配から早期に末原が逃れた事がわかる。やっぱりこいつは能力無効化に近しい能力なんじゃなかろうか。能力察知ができないのも能力を無効化しているからなんてよくある話である。


そして爽の親番、白い雲を呼び出してメンチンツモで上がる。この白い雲というのは五色雲で草木鳥獣魚虫となった白い雲だろう。宝物となった赤い雲が字牌を呼ぶように、生物となった白い雲は索子を呼ぶようだ。また、この局では雲のみを使い、カムイは使わなかったようだ。ツモれそうだからいいと思ったのか、温存しておきたかったのか、はたまた雲との相性がよくないカムイしかいないのか。

しかしいずれにせよ、連荘すると一気にアッコロとホヤウを召喚。こちらもアイヌのカムイでそれぞれタコとヘビである。会場に黒いオーラが現れているようだが、これは実際は赤ではなかろうか。空をも赤くしてしまう程に赤くて巨大なアッコロカムイの影響と考えたい。どんな能力かは明らかではないが、嶺上で上がられた時以上に咲が動揺している以上、それ相応のカムイなのだろう。


咲-Saki- 第144局[烈火]

もいっこカンや!!

末原恭子


いよいよ持って後がなくなってきた有珠山。大将の爽は能力を使う。だが、それを察知した咲の様子から状況を察してオリに走る末原。それでも未だチャンスがあるかに見えた爽だったが、ネリーが嶺上開花を見せるであった。


気になる所は3つ。爽の五色雲とカムイの能力、ネリーの嶺上開花、そしてセンサとして機能する咲である。3つ目はおまけのようではあるが、咲というキャラクタをどう見せていくかという点で大事になっていくかもしれない。


まずは爽の能力から見て行きたい。もう各所で話題にされているが、五色の雲はアイヌ神話天地開闢に現れるものだろう(天地開闢 (アイヌ神話) - Wikipedia)。雲の種類に応じてツモが変わるものと思われる。今回は赤い雲を使い、赤は宝物だからなのか、字牌をツモっていった。また、この赤い雲の能力は地方大会でも使っていたようだ。なお、五色の内黒と黄色は既に使ってしまい、戻っていないそうだ。

五色雲の能力は恐らくツモの確率を上げるだけなのだろう。原型を考えてもどういった指向性のものになるか程度が適当に思われる。実際、大三元を張ったのは偶然であるかのようだったし、特定の役を上がる為に特定のツモをするのではなく、特定の牌をツモりやすい為に特定の役を上がりやすくなっているだけだと考えられる。咲では特定の役を上がりやすいタイプは極端に打ち方に特徴が出るという傾向からもこれが支持されるだろう。また、雲を投げる対象は任意に決められるらしい。能力の発動タイミングは配牌前のみなのかは不明だ。

カムイの方も複数種類あるらしく、こちらも連れてきたもののようだ。今回末原に使ったものは寿命の支配者(パコロカムイ)というそう。自分の上がり牌を掴ませる能力のように見える。なんだか姉帯さんっぽい。

それでこのカムイというのはアニミズム的な神の事だ。パコロというのはパ・コロに分解され、パは季節や疱瘡、コロは支配するという意味らしい(CiNii 論文 -  アイヌの疱瘡神「パコロ・カムイ」に就いて(下))。金田一京助などはパコロカムイをして歳神としていたようである。金田一の書物を読めば今後登場するカムイも予想できるに違いない。


さて、ネリーの能力についてだ。爽が張っていて次に上がれそうな事まで察知した上で嶺上開花を上がっているようである。一連の流れではあったが、他家の和了察知と自分の嶺上開花の察知は別の能力かもしれないし、また異なった能力の表現形の1つかもしれない。ただ現時点でわかるのは嶺上牌が見えているであろうという事だけだ。


そして、センサとしての咲だ。他者の能力発動を察知できない末原は咲をそのセンサとして使おうとしていた。咲は明らかにオカルト側であり、対局相手が強力な能力者であればある程、瘴気を帯びたオーラから恐怖を感じ取っている。恐らく今回のカムイだって見えていただろう。そう、咲を映せば何か起きている事自体は分かってしまうのだ。

麻雀にしろ、カードゲームにしろ、勝負事の話を作る場合に勝つ事が決まっている人の手の内は明かせない。どのように勝つかを先に明かしてしまったら話として面白味がなくなってしまう。だから映せない。咲でもしばしば見られる光景だ。しかし、咲を映すと他者の能力まである程度は明らかになってしまう。その結果、能力を今すぐに見せてもいい相手以外の行為に対する咲の反応は見られなくなる。こだわりを散々描写したカン周りへの反応に限られてしまいがちになる。まるで照魔鏡のようになっていってしまうかもしれない。



そんなわけで濃密な第144局。次号救済の為、7月中旬までおあずけだ。